五章

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 結界の施術が終わるとドッと疲れが出た。俺は片膝を突き肩で息をするが、なかなか息切れがおさまらない。  振り向くと後ろで白椿が両手を突いてしゃがみ込んでいる。 「大丈夫か!」  俺は急いで駆け寄った。肩を抱きもうろうとする白椿を揺すった。 「私は大丈夫です。先生は大丈夫ですか? 施術はできましたか?」 「白椿のお陰だよ、ありがとう。無事に済んだよ」  白椿には、結界が消えた後に外部からの侵入が無いように白椿の結界を張ってもらっていた。だから悪い気が入る隙が無かったと言うわけだ。  大地の水で全て洗い流されたこの敷地は、不純な物も無くなり綺麗になった。そしてあの本性も洗い流されてみじんの欠片も残ってはいない。  水塊を受けたせいで俺と白椿はびしょ濡れだった。 「白椿、早く着替えようか」  お互いが疲れきっているので、なかなか立ち上がることができない。すると遠くから大和が走ってきて俺の顔をペロペロと舐めだした。 「先生? 何で大和は濡れてないんですか?」 「今回の大和は部外者だからだよ。あっ、部外犬か」  白椿と笑った。  白椿の服が水で濡れて透けているのが困った。目のやり場が無い。でも、今は疲れてしまっているのが先でそれどころでは無いのが本当の所。二人で支えながらヨタヨタと歩いて屋内に入った。  ひとまずはこれで良し。でもまたあの本性は違った形でやって来るだろう。いつどのような形で侵入してくるのかはわからないが、それまでに対策を練らなければならない。そうしないと今度こそ本当に吞まれてしまうかも知れない。  狙われていたのは新しい能力を持つ白椿。それと能力者をはるかに上回る大和だ。負けるわけにはいかない、俺が絶に守るからな。そして必ず抹消してみせる。  
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