七章

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 では、こちらも仕掛けてやろうと一芝居打ってみる。先ずはテンションを上げて、その石を褒めながら車に乗り込んだ。 「さぁ、遊びに行こう!」  息子とその石を車に乗せて出発。事故にさえ合わなければそれで良し。本当の目的地は決まっていたが、考えない教えない口に出さない。  到着した先は嫁ぎ先の寺院。ちゃんと説明をして引き取ってもらうつもりだった。が、あいにく僧侶は不在。その奥さんにも、そんな気持ち悪い物は受け取れません、と断られてしまう。 「ねぇ龍河先生? どう思います? 檀家だからお金払って色々面倒見てもらってるじゃないですかぁ? 気持ち悪いって理由で拒否されたんですけど、どう思います?」 「そうですねぇ、それを言葉に出したら良くないですねぇ。多分、その奥さんはお嫁に来た方なんじゃないですかね。だから霊的な物はわからないから関与してなかったんじゃないですかね」  気を取り直して再出発。また、遊びに行く振りをして今度は自分の実家の寺院へ向かった。  嫁ぎ先の寺院と逆方向に向かった車は、かなりの距離を走る。息子もくたびれて眠ってしまった。  自分の実家の寺院に到着して車から降りると、何故だかモヤッとした感じが晴れた。例の石を持って僧侶を訪ねる。が、また留守のようで直接話しは出来なかった。  だが、話を聞いてくれた奥さんが快く受け取ってくれた。 「それは大変でしたね。お焚き上げをするかどうかは主人が決めますので、一応預かりますね」  そう言って奥さんは受け取った石を手の平にのせると、石の平を撫でた。それを見た時、小川中はハッとしたと言う。 「小川中さん、受け取ってもらって良かったですね。私が思うに、その石は河原から来た物なのではないかと思います」 「河原から?」 「はい。小さな子供が亡くなると親は河原へ行って石を積みをするのですが、それが関係しているのではないかと思います」 「石積みですか」
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