七章

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 その日の夜、リビングでまったりしていた俺は白椿を呼んだ。 「白椿ちょっといいかな」 「はい」 「昼間に持っていたお祖母ちゃんの形見。あれもう一度見せてもらってもいい?」  そう言うと白椿は大事そうに指輪を持ってきた。 「ペントップとティファニー、どっちがいい?」  白椿はキョトンとしている。 「ティファニーって、あのブランドのティファニーじゃないよ。  この形見を白椿でも身に着けていられるようにリメイクしてあげようかと思って。若いうちのプラチナはその人を守ってくれるから、土台はプラチナにしようと思ってる。  ペントップはオープンハート系で、リングはティファニーが可愛いかなぁと思ってるんだけど。さすがにこの立爪はゴツ過ぎるからね」 「ありがとうございます。でもお金も掛かるでしょうし。大丈夫です」 「俺からのプレゼントって言うとおかしな事になっちゃうから、いつも頑張ってる白椿にご褒美って事で。それならいいよね?」 「それなら、お願いします」 「わかった、じゃぁペントップもいいけど、ティファニーにしよっか。ダイヤも大きいから見栄えが良いかもね。  取りあえず指輪は預かっとくね。知り合いに職人がいるから可愛く仕上げてもらうから待ってて」  俺は、この飾り気のない女の子を少しでも輝かせてあげたかった。  一九の誕生日にプラチナをプレゼントする名残がある。それは女性が初めて迎える厄年に当たる。可愛い娘、若しくは大切な人が健全な日々を送れますようにと願ってプレゼントする所謂お守りみたいな物だ。  白椿は二十歳を超えているが可愛い女の子だ。ここで預かっている以上、大事にしないといけない。女性として輝いていてもらわなければいけない。そう考えて指輪のリメイクをすることにした。 「先生?」 「なに?」 「先生は結婚されないんですか?」  急に聞かれたがたいして驚かなかった俺。 「あぁ、それはよく聞かれるよ。でも、こんな仕事してるからね。それに最愛の人を巻き込みたくないから」 「そうなんですね。先生は優しいんですね」 「褒めてくれてるの? ありがとう」  白椿は少しはにかむと自室へ戻っていった。
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