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一瞬でまた身動きが取れないよう抑え込まれ、今度はスカートの裾へ安堂さんの手が伸びた。
ーーー今日はここまでだ。
「はい、ストップ」
「痛!?」
俺は思いっきり安堂さんのスネを蹴った。そのまま悶絶してソファから転げ落ちる。
「何すんだお前っ……!」
「そりゃまぁ、抵抗ですよ」
「おま、全部受け止めるって言ったろ!」
「もちろん、安堂さんの行為は全部受け止めます。その上でこちらも当然の抵抗はします」
「は……?」
涙目になりながら、ソファで服を整える俺を見上げてくる。その目にまた欲情の色が帯びかけたのを感じた。
これでは埒があかない。
「ちょっと待ってください」
俺はソファから素早く降りてウィッグを取り、脱衣所まで行ってジーパンに履き替えてから戻った。
「これで落ち着きましたか」
完全に男に戻った俺を見て、安堂さんの熱気が少しずつ下がっていく。
「…………大分」
「良かったです」
俺は再度ソファに座った。
安堂さんも痛みが引いたのか、立ち上がってキッチンの方へ歩いていく。シンクに両手を突いて大きく息を吸った後、長いため息を吐いた。
「さっきの続きですが。俺には何をしてもいいですが、一般的にアウトなことには当たり前ですが抵抗します。それが普通の女性の反応ですから。その時に自力で抑え込めるようにならないと意味がない訳です」
「うっ……それは、そうだが」
キッチンから戻ってきて俺の近くに立った安堂さん。かなり不満げな顔をしているが、そのまま話を続ける。
「さっきのは完全に強姦未遂ですよ。まぁ、俺が誘ったようなもんなのでちょっと微妙なラインですが。でも、あのまま続けてたら犯罪です」
「それは…………そう、です。悪い」
「謝る必要はありません。リハビリなんですから」
俺は安堂さんの方を見上げた。
「とりあえず、我慢できる限界値がかなり低いということが分かっただけでも、俺的には収穫です」
身も蓋もない言葉に、安堂さんは非常に複雑そうな顔をする。事実なんだから仕方ない。
「これからちゃんとレベルやシチュエーションを考えて、リハビリしていきましょう」
「お前な……」
何か言いたげだったが、散々悩んだ後に首を振って肩を落とした。
「……もう少しお手柔らかに頼む」
「完治まで付き合いますから、一緒に頑張りましょう」
俺がそう返事をすると、「前途多難すぎる」とため息を吐きながらようやくソファに腰掛けて脱力したのだった。
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