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あ
「悪い冗談だろ?」
アベルが片方の口角だけを上げるような引きつった笑い方をした。
「それは……本当で聞いてる?それとも、歴史上の真似かい?」
ルイス様の唐突な「ガチ」でギャップ萌えに弱すぎる私の心がやられていることは置いておいて……歴史上の真似かぁ。
私はそっと心の中でほくそ笑む。あのストーリーは私が作ったと言っても過言ではない。私はたまに二次創作を作っていたのだが、まさかの展開がほぼ一緒!たまにあるよね……。
––––––––––☆––––––––––
それは、ある剣術の好きな一国の王子と魔法好きな隣国の王子が突如謎の病にかかった人を救う、という何ともありがちなストーリー。
2人は病気を治す為に奮闘し、ようやく二国に平和が訪れた。しかし、一国の王子はある時気がついてしまう。彼が貸してくれた隣国の書に我々が苦しんでいた病気を蔓延させる方法が事細かく書かれていること。まさか、と脳裏に一つの考えが浮かぶ。実は病気を蔓延させたのは隣国の王子なのではないか。
慌ててその考えを打ち消そうとするも、一度浮かんだ悪い考えは中々一筋縄では消えない。
そこに、メイド達の噂話が耳に入った。
「月の王子様、かっこいいわよね……いつも王家しか入れない図書館の本をこちらの太陽の王子様にお貸しになってるらしいのよ。」
王家しか……入れない。
一国の王子はそれを知り、隣国の王子に激昂して迫る。
「おい!なぜっ……何故そんな事をしたんだ!」
「何を言っているか解らないな。どうしたんだよ。」
「おま、お前がっ!病気を蔓延させたんだろう!」
隣国の王子がこれでもかというほどに目を見開く。
それを見た瞬間、彼は気がついた。
「やはり……お前だったんだな。」
一刻の王子はそういうと剣を引き抜き、一思いに彼に刺した。
その瞬間、彼の記憶が自分に流れ込んできた。
「っ……!?」
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