姫が勇者

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姫が勇者

俺は、魔王城の前で立ち尽くしていた。 「あらあら〜こんな所まで来てもらっちゃって申し訳ないわ〜」 小走りで手を振りながらやってくる姫。 待ってください!? そのドレスは僕がフリルに沿って一日と身を削ってアイロンをかけたものでは…!? あぁ…!そんな風な裾の捲り方だとフリルに泥がっ… あーあ。ついた。完全につきましたね、最悪です。 「執事見習いさんったら、少し会ってないだけでまた背が伸びた?」 「少しって言ってももう2ヶ月ぐらい会ってませんけど。」 僕が不機嫌そうにそう返すと姫さまは顎に小さく手を当てて考えるポーズを取られた。 「あら、そうだったかしら〜」 姫さまはド天然でいらっしゃいます。 魔王に連れて行かれた時でさえ… 「あら〜?どちら様〜?」 と、平然な顔をして連れ去られた。 そのせいでその後のお城は大騒ぎだった。 姫が連れ去られたのだと僕達は言い張ったが、メイド達は魔王様との禁断の恋の駆け落ちだと囁き、見物人は触れ回った。 「これが勇者の剣?随分みすぼらしいのね〜」 「十分じゃないですか。ルビーとかサファイアとかボコボコ付いてますよ。」
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