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自分の親たちに思いを馳せている間に、誓詞奏上も終わりが近づいていた。
「何卒、幾久しくお守りください」
お守りください、か……
かつてと違い、ここしばらくは神社へ参る人の子もずいぶん減った。今、誓いを立てている神のことを、こやつらは知っておるのかの?
たまに思うのだが、今日初めて見合った神にこの先ずっと守って欲しいと願うのは、厚かましい願いとは感じないのだろうか。
今日新たに夫婦となる二人を見る。
この先には幸せな生活が待っていると信じて疑わない顔だ。
そんな二人を見ると、どうしても願ってしまうのだ。
ああ、どんな艱難辛苦が訪れようとも、今のように二人寄り添い、幾久しく歩んで欲しい。
我も見守り、願っている。二人の幸せな人生を。
この中に我のことを知っておる人の子が何人いるのかは知らぬが、我は雨の神ではなく太陽の神、ほんの少しだけサービスしてやろうかの。
二人の門出に、祝福じゃ!ちょっと雲をどかしておこうぞ!
「ええ、それではこれより、隣の部屋で披露宴を執り行いますので、皆さんご移動をよろしくお願いいたします」
……むう、せっかく我が素敵な演出を用意したというのに、これから披露宴とな? ぐぬぬ、やはり慣れぬのじゃ~!
何はともあれ、結婚おめでとう! 二人のこの先に幸多からんことを!
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