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いつの世も結婚というのは、とかくお祭り騒ぎである。
時代や人によって形は様々ではあるものの、厳かに誓いを立て、その後は飲めや歌えや踊れや騒げと、夫婦を祝福しつつ新たな門出を祝うものである。
異国の文化が入ってきても、根本のところは何も変わらない……
「いらっしゃいませ。何かお困りでしょうか?」
「あの、今日挙げる結婚式の招待客なんですけども、少し早く着いてしまって……」
「だから言ったじゃん、こんなに早く出発する必要ないって! あの、ラウンジのカフェみたいなところで待つので大丈夫ですから」
「少々お待ちくださいませ。ただいま準備ができているか確認いたします」
うむうむ、結婚式に早く到着して困ったことになるのも、いつの時代もあるあるじゃな。
しかし、根本は変わらないとはいえ、大きく様変わりしたものも多いのう……
「私、和式の結婚式って初めてで、お着物じゃないといけないのかと思ってたけど……ここならたしかにドレスでも目立たないわね」
「そうね。最近はちゃんとした神社でやる時も洋装でいいらしいけど、やっぱちゃんとした和装にしないといけない気がするもんね! あと、こういう結婚式って、神前式っていうらしいよ!」
むむ、まるでここが神社として不足があるような言い方をしおる。
……いや、言いたいことはわかる。時代と共に移り変わるからといっても、ここ最近の変化は本当に凄まじいものだ。
こんな、一日中煌びやかな場所に社が建てられるとは──
「ホテルで神前式っていうのも、なかなか良いものかもしれないわね」
そう、ホテルと言ったか。
まさか宿屋の中に丸っと神殿を立てるような時代がくるとは思わなんだ。
数十年経つが、どうにも慣れぬものよ……
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