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人の世はかくも目まぐるしく移り行くもの。
異国の神だか仏だかとごちゃ混ぜにされたと思えば、いつの間にかまたきっちり分けようとしたり、これまた別の神の教えを持ち込む者が現れたり。
かと思えば、そんな信仰とは別に多くの社が燃やされるような争いが起きたり、一時もてはやされた神々が祭られた神社が、あっという間に忘れ去られるように朽ちていったり。
今までにも数多のことを見てきたが、ここ最近は本当に移り変わりが激しいのう……
この地へ分霊され、初めて神殿に降り立った時には本当に驚いたものよ。
戸を開けても空がない! 屋内じゃ! こんなに人がおるのに神職の者がほとんどおらんではないか! 神主は、社務所はどこじゃ! そして、こんなに人がおるのに、なんで誰も我の元へ参らぬのじゃー!
いや~、あれほど驚いたのはいつ以来じゃろうか……
いつの頃からか、人の子はずいぶんと大きな建物を作るようになったものだと感心しておったが……まさかその巨大な建物の中に神社を設けるとは、神々でも予想できなんだ。
しかも、ここはホテルとかいう巨大な旅籠。
宿坊ならまだわからんでもないが、何故このような宿に神社を構える必要があるのかと不思議に思ったものだ。
いやいや、まさかまさかの、このホテルという場所で婚礼を挙げるためだけに建てるとはの!
我、ここに来てから幸せそうな人の子ばかりみておる! 超ラッキーじゃ!
ついでに、ホテルの中に建てられておるからの、他の神社では味わえない楽しみもたくさん!
むふふ、人の子が行う夜の営みも見放題よ。わざわざ神社で行う不埒者なぞ、なかなかおらんかったからの~……いやはや、こちらもまた、かように発展しておったとはの。勉強になるわい。
おっと、今日は我の数少ない神事、婚儀がある日じゃった。お仕事お仕事っと。
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