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「おねえさんって、やさしいんですね」と、しずかは言った。 「やさしい?この私が?」 「ええ、と~ってもやさしいです!あたしが出会った中で一番かも」  そんなもんだろうか?私は私のどこがやさしいのか、さっぱりわからなかった。 「旅行、行きません?一緒に」  そうしずかから誘われた時も、別に断る必要もないかと感じた。 「いいよ」と答えると「やっぱりおねえさんってやさしい」と返ってきた。 「でも、そんなにやさしいと死にたくなっちゃう。なんでだろう?あんなに何度も酷い目に遭っても涙1つ流さなかったのに」と続く。  見ると、しずかは涙を流していた。ポロポロと大粒の涙を流し、ついにオンオンと声まで出して泣き始めた。  私はどうすればいいのかわからず、ただその姿を黙って見守ってやることしかできなかった。
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