1

1/1
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ

1

 ツツ~っと太腿(ふともも)を一筋の液体が流れてゆく。  小川のように糸のように。  私の体から流れ出たせせらぎが。 「こういうとこ動物だな」と思う。  人間である前に女は動物なのだ。どうしても子宮や体で考えてしまう。いえ、考えるのではなく反応する。  いい男に抱かれている時が一番の幸せ。  プラトニックなつき合いならば恋人でなくともよい。親友とかソウルメイトとか、そうでなくとも単なる友人とか相談相手とか。バーテンと客の関係と同じ。占い師と相談者でもよい。  男と女は体の関係でなければ、恋人とは言えまい。  そもそも、この関係を「恋人」と言えるのだろうか? 「セックスフレンド」とか「(めかけ)」とか「セカンド」とか呼び方はいくらでもある。名前などなんでもよいが、とにもかくにも「単なる友人」でないことだけは確か。 「心が満たされてるな」と感じた。体が満たされることで精神的にも満たされる。千の言葉よりも行為が欲しい。  なんだかんだ言いつつも、女はいい男に抱かれている時が一番幸せなのだ。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!