都会のセミ ～聖（性）女の慈しみ～

3

「そんなの間違ってるよ」と言ってくる人も多い。
　でも、何が間違って言うのだろうか？体だけの関係は軽くて、プラトニックな恋は尊い？
じゃあ、あんたが代わりに私を満たしてくれるって言うの？

「ええ、私があなたを助けてあげる」
　そんな風に声をかけてくる者は数知れなかった。そのほとんどは宗教の勧誘か偽善。そうでなくとも、心の底から「自分は正しい！」と思い込んでいる単なるお節介焼き。

「そんなんじゃ、私は満たされないのよ！」
　そう何度叫んだだろうか？
　私を満たしてくれるのは男だけ。なんだったら女でもいい。誰でもいいから私を気持ちよくさせてくれ。それで精神も満たされるから。
　そんな単純なことが理解できない輩があまりにも多かった。あとからあとから波のように寄せてくる。そうして、波のように引いていく。あとには誰にも残らなかった。