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私は人の名前を覚えるのが苦手だ。自分の名前すらどうでもいいというのに。
ベッドの相手など、今時インターネットでいくらでも探せる。もちろん、その際に名前は交換するが、本名かどうかも怪しいし、そんなことはどっちでもいい。名前など記号みたいなものだ。
相手などいくらでもいると言ったが、「プレイが上手い相手」となると、なかなか見つからない。大抵は自分本位な男。ただ単に自分の欲求を満たしたいだけ。
私が望んでいるのはそういう輩ではない。身も心もとろけさせてくれるような人。だから、そういう相手に出会った時は、できる限り逃さないようにしている。可能な限り長くお相手をしてもらいたいから。
それでもいつか終わりは来る。それに、会いたい時にすぐに会える人ばかりではない。なので、常に何人か「上級の相手」を用意している。「極上の人」となると滅多に会えるものではない。
そういう相手に出会うため、出会った時に離さないために、私自身も上級にならなければならない。自分本位であってはならない。
普段は何にも興味を抱けないこの私が、男に惚れられるため、自分を磨く行為だけはどこまでも真剣になれた。気持ちいいことの為ならば、どこまでもストイックになれた。
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