シン・古今馬鹿集

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 こちらも弓矢を持っているので力尽くで追い返せそうな気もしたが、馬鹿も馬鹿なりに頑張っているので、話だけでも聞いてやる事にした。何故、人を食った訳でもないのに、狸を仕留めなければならないのか、そんなの可哀想ではないかと。 馬鹿の話によると、村が出来て今年でちょうど百年になるのでお祭りを開いている最中との事。そこに山で狸が出ると聞いた村長、ひらめいた。狸を狩って狸鍋を食べようと言う計画らしい。なんとも馬鹿らしい計画で殺されかけたものだ。 それを聞いて我輩もひらめいたので馬鹿に提案した。我輩を狸だと思うなら村まで一緒に出向いてやろう。長老が我輩を狸だと思うなら、仕留めてもらってかまわん。だが、狸でないと分かれば、詫びとして祭りの飯と酒をご馳走しろと。 馬鹿は馬鹿の癖に真面目だったらしく、それは仕事内容とは違うとしばらく渋っていたが、今ここで狸を仕留めて村まで担ぐより、歩いて着いて行くと言ってるのだから、その方が楽だろうと言うと納得してもらった。馬鹿はこれだから助かる。
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