猫の騎士団

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猫の騎士団

 昔々、あるところに二つの国がありました。二つの国は長い間戦争をしており、土地は荒れ人口も少なくなっていました。戦争に男を取られてしまうので、女子供が畑仕事をしています。畑にはネズミが出るので、自然と猫が集まってきました。作物を齧るネズミを食べてくれるのはいいことです。ですが、この国では猫を家に入れることは禁止されていました。何故なら猫はあまりにも数が増え、また可愛くてついつい構ってしまうので仕事にならないと、女たちが困り果てていたからです。とうとう兵士にする若い男もいなくなってしまい、王様も困り果てました。 「村には猫が多すぎて困っている。こちらは兵士が足りなくて猫の手も借りたいくらいだ。そうだ、猫の騎士団を作ろう」  王様の言葉を聞いて困り果てたのは大臣です。王様はまた思い付きで物を言う、とため息を吐きました。けれどこれも仕事のうち。王様の命令に従わなければ大臣の首が飛びます。  大臣は畑のネズミを狩るだけの猫を残して、国中の猫をお城に集めました。玉座の間には王様と大臣、騎士団長と、たくさんの猫たちで埋め尽くされました。玉座の周りを埋め尽くすほどの猫は圧巻です。猫たちはにゃーにゃーと騒がしく、居眠りをしたりじゃれあったり、はたまた喧嘩も始まりました。玉座の隣に立っている大臣は猫たちに向かって叫びます。 「静粛に!」
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