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ピンポーン
ガチャ
ミナが恐る恐るドアを開けて入ってきた。
「あの~。」
「あっこれ…。」
「ああ~ありがとう。ちょっと履かせてもらっても良い?」
「あ…どうぞどうぞ。」
彼女は眩しいくらい色白で華奢、漆黒の艶々な髪で…栗毛の天然パーマの私とは正反対で美しさをまとったような女性。でも性格がキツイ感じがしない。逆に守ってあげたくなる感じ。
「あの…広人…悪い人じゃないから…。」
「え?」
「私、パンツ履かずに帰るくらいバカで…前に騙されて働かされてる所に…広人が客として来て助けてくれたの…。」
「あの、失礼ですが…どんな関係なんですか?」
「広人とは契約関係よ。私が生活できるようにお金をくれる代わりに、たまにこうやって…。」
<契約関係…。また契約…?どんだけ契約好きなんだよ?>
「広人が居なくなったら…私、生活できなくなるの。だから、広人を悪く思わないで欲しい。できれば…これはワガママなお願いだけど、このまま広人との契約を続けさせて欲しい…。」
「あ…いや、私にはそんな権限ないですから。」
「え?彼女さんじゃないの?」
「違います!違います!ただのハウスキーパーです。」
「そうなんだ!あんなに怒ってたから、てっきり彼女さんだと思ってた。でも…嫌なところを見せてごめんなさい…。」
「あ…いえ、私の方こそ突然あんな事してごめんなさい。あの!これ…タクシー代渡しといてって言われたから…。」
「ありがとう。前にもパンツ履かずに電車で帰って痴漢にあっちゃったから…それからタクシーで帰るようにって…。」
「そうなんですね。」
「次来る時に、おつりと領収書を持ってくるからって伝えといてくれるかな?」
「わかりました。」
彼女はにっこり笑って帰って行った。彼の意外な一面…私の知ってる彼とは全くの別人で…二重人格なの?って思ってしまう…。
ガチャ
シャワーを浴びて出てきて開口一番に…
「来た?」
「あ…はい…。」
<あ…今日はパンツ履いてる…。>
「色々聞きました。」
「何を?」
「その…2人の関係とか…いきさつとか…。」
「あっそ。ちゃんとさっきのこと謝ったか?」
「…え?」
「ああいう事あると、あいつはお前に気を遣うようになるから…。」
〈………そっか…謝ったよ…。〉
なんか心がざわついた。私のことよりもミナって人の事を優先して考えてる気がした。
「で?」
「え?…で?って?」
「俺、誰かさんのせいでイケてないんだよね…。」
「そんなこと言われても…。」
「覚悟して来たんだよな?」
近づいて来た。
<どうしよう…あ!>
「逝きたいんですよね?」
「うん。イカしてくれんの?」
「はい!ココじゃ無理なんで…。着替えて…移動しましょう!」
「は?」
「早く!早く!」
《何?どういうこと?何処でやるつもりなんだよ?》
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