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絶叫した日を境に、彼のことが180度違う人に思えるようになった。
〈悪い人じゃない。優しい人。自己表現が少し下手な人。〉
結局、解約の話はできなかった。できなかったんじゃない…しなかったんだ…。
ガチャ
「おはようございます。お邪魔しまーす。」
いつものように部屋に入ると何日かぶりに彼が部屋にいた。ドキドキした。やっぱり私の心臓おかしい…。
「おはよう。」
「これからですか?」
「うん。悪いけどコーヒー淹れてくれる?ミルクと砂糖多め。」
「はい。」
《何?なんか…久々に会うと…変な感じだな…》
「淹れました…置いときますね。」
「ありがとう。」
「この新聞の山…全部読むんですか?」
「大事なとこだけな。」
「凄いですね…。」
「そ?」
「うん…なんか凄い…。あ、洗濯物ありますか?」
「うーん…あっちにある…。」
そう言って、新聞を読みながら寝室を指差す。寝室に入りベッドや床に散乱してる洋服を拾う。
「きゃっ」
急にベッドへ押し倒された。真上から見つめられる。
「な…なんですか?」
「甲が乙を欲してる。」
ゆっくりと唇を塞がれる。甘いカフェオレの味がする…。
ちゅ…
リップ音を鳴らして直ぐに離れた。
「今日は俺が帰るまでココにいろ。」
「え?」
「飯食いに行く。」
〈あ…ご飯か…。〉
「何?続きしたかった?」
また顔が近づく…
「だ…大丈夫です…。」
「そか…んじゃ…夜な。」
「はい…。」
彼は財布と携帯をポケットに詰め、大量の新聞を持って出て行った。唇には柔らかい彼の唇の感触とカフェオレが残っていた。
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