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「添削屋をはじめた私の文章の話」第2弾は、朝日新聞社記者を長く勤められ、「天声人語」も執筆されていた辰濃和男さんの『文章の書き方』(岩波新書・1994年)をテキストにして勉強していきます。
Profile
ジャーナリスト。1930~2017。
東京商科大学(一橋大学卒業)、朝日新聞社入社、ニューヨーク特派員、社会部次長、編集委員、編集局顧問を務め、1975~1988年「天声人語」を担当。93年同社退社。朝日カルチャーセンター社長、日本エッセイスト・クラブ理事長を歴任。
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この本を勉強しようと思ったのは、「まえがき」でまずとても好印象を抱いたからです。
次の部分です。
「……とくに考えてみたいのは、「文は心である」ということです。正確にものごとを見る訓練をおろそかにしている人が、はたして正確な文章を書くことができるでしょうか。大自然と遊ぶ楽しさを知らない人が、人の心をとらえる自然の描写をすることができるでしょうか。品性のいやしさが顔に現れている人が、品格のある文章を書くことができるでしょうか。いらいらせかせかの気分のまま机に向かって、読む人の心に沁みる落ち着いた文章を書くことができるでしょうか。ひとりよがりなことばかりをいっている人が、目配りのきいた、均衡のとれた文章を書くことができるでしょうか。表面はごまかせるかもわかりません。しかし心のゆがみは、その人の文章のどこかに現れます。
ですから、文章の修行をするということは机の前に座ったときにはじまるわけではないのです。いい文章を書くことと、日常の暮らしの心のありようとは深いつながりがあります。その人の文章のありようと、その人の生きる営みとは切り離せません。」
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第一印象。
この人は、文章を信じている。
そして、私たちものを書く人間なら、誰もが共感することを丁寧に論じてくれている。
私の感じたのはそういうことです。
ノウハウ本もいいけれど、もっと根幹にあるものを忘れえてはいけないと、僭越ながら思わされました。
そして、文章を書くとは身も引き締まるけれど、あらためて素晴らしい仕事である、と。
次回は、この本の構成についてと、内容に入っていきますね。
なお、このエッセイはnoteでも同時連載しています。
そちらの方が、レイアウト的に読みやすいです。
コメント欄にリンクが貼りつけてありますので、よろしければそちらからどうぞ!
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