1 マークとコーネ

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「何てことだ! こんな天変地異が、この長閑(のどか)な町までやってくるなんて!」  しかし、もはや逃れようはなかった。  空の黒雲も一段と濃く、低くなってきた。  そして、黒い灰が降ってきた。  それは、静かに、しかし急激に、その量を増していった。  視界が、モノトーンに染まっていった。  もう、眼下の町の砂塵がどうなったかもよく見えない。  それを見る目にも、容赦なく灰が舞い込んでくる。  マークは、コーネを促して、新居の中に避難した。  窓から見える世界が、一段と暗くなっていった。  そして、ただの暗い闇でしかなくなった。  音は……ない。不気味な静寂が辺りを包んでいた。  突然、新居がきしみ、……天井が落ちてきた。  降りつもる火山灰の重みに、崩れてしまったのだ。
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