1 マークとコーネ

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 二人は、かろうじて直撃を免れたが、身動きがとれなかった。  マークは、何とか手を伸ばしてコーネの手を握った。  コーネも、マークの手を握り返してきた。  しかし、それ以上は動けなかった。  その二人に、容赦なく黒い灰が降り注いできた。  1センチ、2センチ……目の前の崩れ落ちた屋根の欠片(かけら)に、灰が積もっていく。  5センチ、7センチ……横向きの顔の下半分も灰に隠れ、視界も半分になった。  10センチ……もう、口も開けない。かろうじて鼻から息ができるだけだ。  それでも、二人は、最後の力を振り絞って、声を掛け合った。 「マーク……お別れだね……」 「コーネ……君と出会えて……幸せだった……」 「……ありがとう……私も……よ……でも……サヨナラね……」 「……コーネ……ありが……とう……」
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