沈む君

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そして半年後にその場所は公園に整備されて誰も気付かない位の小さな祠が建てられた。 わたしは母親から「ヒトシ君はこの祠で眠っているの」と聞かされて怖くて近づけなかったしその公園で遊ぶ気にはなれず行く事はなかった。 中学生になるとイジメにあって不登校になった。 その頃はヒトシの家族も引っ越していて友人も兄弟もいないわたしは孤独な時を過ごしていた。 「死神」「人殺し」と言うあだ名が独り歩きしてわたしに近づくと不幸になると身に覚えのない事ばかりが背後から付いて回り部屋に引き篭もって死ぬ事ばかりを考えていた。 そんな時に初めてあの公園にふらふらと行きベンチでジョギングコースを歩く老夫婦を眺めていた。 「何故ここに来たのだろう… ここで死のうと思っているのかしら」 そんな事をぼんやりと考えていると滑り台やブランコなど遊具設置の場所で誰かがわたしを見ているように感じた。 勿論そこには誰もいないのだけれど強い視線だった。 わたしはその途端に鳥肌が立ち身体がブルブルと震え出した。 すると、 「ボクはさあ、 君をずっと待ってたんだけど全然来てくれなくて寂しかった… それにあそこに置いてある物がある限りボクはここにいなきゃいけないんだ」 わたしの耳元で息が掛かるほど鮮明な声で語り掛けて来た。
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