蓮華薬師堂薬局の処方箋

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 円が手作りサンドイッチを食べつつ付け足した。気が滅入って頭が重いというのは、春先にありがちな症状だった。 「どうだろうな。本当に春のせいだけかな。うちが流行るっていうのは悪い予兆だぜ。そろそろあいつが来るかもよ」  しかし、そんな二人とは全く違う意見を述べるのが、ずるずるとカップ麺を啜る弓弦だ。毎日違う種類のカップ麺を食べるのが拘りのようで、唯一手作り弁当ではない。しかも今日はキムチラーメンという、午後の業務に支障をきたしそうなものを食べていた。休憩室の中にもむわっとキムチの匂いが充満している。しかし、気になるのはキムチラーメンよりあいつという単語だ。 「あいつって、そんな疫病神みたいな人がいるんですか」  桂花が訊ねると、円がしっと指を立てる。言っちゃ駄目と、本当に疫病神が来るかのような反応だ。 「噂をすれば影が差すと言いますからね。業務時間外にしましょうか。総てが終わってからならばまだ大丈夫でしょう」
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