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「おや、そうだったんですね。まさかそんなご近所さんだったとは、これもご縁でしょうか」
「ああ、そうかもしれませんね。私も祖父の家に行く時にこの薬局を見つけましたから。でも、私自身は東京生まれの東京育ちですし、大学も東京だったんですけどね。それでも、昔から大好きだった京都で薬剤師をするのもいいかなって。ああ、もちろん一人暮らしでお寺には住んでいないですよ。さすがにお寺での生活は、朝が早くて私には無理で」
思わず言い訳するように言葉を重ねてしまうのは、本当は昔、あの憧れの人に出会ったのが、その祖父の家に遊びに来ていた時だったせいだ。
つまりあの出会いが京都だったから、薬剤師になるのも京都にしようという動機だったのだが、さすがにそれは語れない。確認したい気持ちもあるが、まだ職場に慣れるのに精いっぱいな今は言いたくなかった。
ちなみに祖父がいるからか、京都の薬局に就職したいと言った時、両親はそれほど理由も聞いて来ず、またここへの就職に反対しなかった。
「なるほどねえ。こうなるとますます」
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