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しかし、なぜか弓弦が意味深に笑ってくる。さっきから一体何なんだ。ただでさえ不良高校生のような薬剤師のくせに、何を企んでいるのやら。だから、桂花は思わず睨み返してしまった。しかし、今回は喧嘩に発展せずにすぐに終わりを告げることになる。
「ああ、噂をすればやっぱり、ですね」
「えっ」
別に来客を告げるベルが鳴ったわけでもないのに、法明が困った顔をして表の調剤薬局の方へと出て行く。特に物音もしなかったというのに、誰かが来たのを察知したらしい。そして当然のように弓弦が続き、仕方ないわねと円も続いた。それに一体何かしらと桂花もくっ付いて出てしまう。だって、三人揃って、いや弓弦はどちらか解らないものの嫌っている人だなんて、気になりすぎる。
「よう、皆さんお揃いで」
その人物はどうやら若い男性のようだ。桂花は一体どんな奴だと、思わず弓弦の背後に隠れてこそこそと覗いてしまう。
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