蓮華薬師堂薬局の処方箋

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「いや、あの薬局に入れている時点で怪しい人ではないだろう。神主というのもある意味で間違いではないか。でもまあ、トラブルメーカーではあるだろうけどねえ」 「トラブルメーカー」  確かにそれがしっくりくる気がする。みんなが疫病神扱いする人は、たぶんトラブルを起こす人だ。てっきり病気関連かと思っていたけどそれは違ったようで、何か面倒なことを持ち込んだのは確かだ。  しかし、どうしてそんな人が薬局にやって来たのか。しかも法明に何かを依頼するのはどうしてなのか。ますます謎が多くなる。 「それに陰陽師となると、あの薬師寺さんとは仲がいいだろうねえ。不思議ではないよ」 「えっ、そうなの。やっぱり同じ陰陽五行説を使うから、相談しやすいのかしら」 「ううん。それだけじゃないだろうけど、うまく説明できる言葉がないなあ。まあ、医学と科学が無縁ではないように、漢方を扱う薬剤師と陰陽師は無縁ではないということだろうね。切っても切れない縁とでも言っておこうか」 「へえ」  桂花はなるほどと納得してお茶を啜った。つまりどこかに重複する分野があるっていうことか。
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