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そんな見た目をする弓弦相手に、桂花の口調もついついきつくなってしまうのは当たり前。だが、知識で負けているのも事実。今も弓弦はにやりと笑い、どうやっていたぶってやろうかと考えている。
「ほう。じゃあ、早速問題を出すか。では、ショウブの基本知識を言ってみろ」
「しょ、ショウブ」
「こらこら。それより弓弦、早く着替えてください」
「そうよ。その見た目でうろうろされたら薬局のイメージが百八十度変わっちゃうじゃない」
法明の言葉に続いて注意を放ったのはもちろん桂花ではなく、同じく薬剤師で先輩の日輪円だ。円はその名前の通りに柔らかい雰囲気の、ふわっと軽くパーマの掛かった長い髪が特徴の女性だ。年齢は弓弦と同じく二十七歳。こちらは納得の年齢だった。
「おはようございます」
「おい、俺には挨拶がなかったぞ」
「そりゃあそうですよ。先輩こそ挨拶なしに余計なことを言ったじゃないですか」
「余計じゃないだろ。ほら、ショウブについて答えろよ。こんなの基本知識だろ」
「うっ」
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