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そして、対応中の患者はおばあさんだったが、チャラさが消えた弓弦は間違いなくイケメンなので、とても嬉しそうだった。しかもさらっとトリビアを披露している。あれを猫かぶりと言わずして何と言おう。薬剤師の時と普段のギャップが大き過ぎて、桂花は毎日のように呆れてしまう。
「緒方さん。ロキソニンを出してもらえますか。頓服で三回分です」
「は、はい」
しかし、そんな桂花もぼんやりしている時間はない。漢方薬ではまだまだ戦力外だが、西洋医薬品は新米であろうと扱える。とはいえ、まだまだ仕事には慣れていないので法明たちの手伝いがメインだ。それというのも、患者に説明して渡すのはもう少し慣れてからと法明が入った当初から決めていた。説明の仕方を三人から学んで、五月からやっていきましょうとなっている。
しかも、まず何がどこにあるのか。それを覚えるだけでも大変である。ここで戸惑っていては戦力にならない。特に漢方薬は種類も多くてさらに名前がややこしい。西洋医薬品もまたしかり。だから四月の間は三人の手伝いをしながら医薬品がどの位置にあるのかを覚えていく期間でもあった。
「あった」
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