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本を纏め終えると、祖母の寝室へ行った。
電気スタンドの横に本が一冊だけ残っていた。
祖母の好きな本だったようで、この本はいつも大切にしていた。
ボロボロになった本を手に取ると、数枚の写真が畳に落ちた。
私はそれをそっと拾って見ると、若かりし頃の祖父母の結婚式の写真だった。
祖父は羽織袴姿で、祖母は黒引き振袖に角隠し姿の花嫁衣装。
あとの何枚かは祖父母の若い頃から、祖父が亡くなるまでの2人で写る数枚の写真だった。
祖母は寝る前に好きな本を読みつつ、亡くなった祖父との写真を眺めていたのだろうか。
祖母も高齢になり一人暮らしをさせたくないからと、一緒に暮らそうと何度も説得を試みたが祖母は首を縦には振らなかった。
私はずっと祖母の我儘だと思っていた。
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