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訳ありの遺品整理
私は職場の上司と恋愛関係になった。
彼は将来有望な人物なので、取引先からのお見合い話が多数きた。
私と付き合っている事を秘密にしていたので、私は我慢をするしかなかった。
昨日も常務が見合い話を持ってきた。
今度は取引先でもなく、社長の娘との見合い話だった。
彼が眉間に皺を寄せて、困ったように言った。
「常務、困ります。」
「何が困るんだね。社長もお嬢さんも乗り気なんだよ。今週末に食事でもしながら、席を設けるから。」
どの見合い話より出世確実だ。
常務は嫌とは言わせない勢いのせいか、彼は閉口してしまった。
もう、我慢の限界だ。
私は彼の携帯に「別れましょう。お見合いがうまくいきますように。」とメッセージを入れ、彼の連絡先をブロックした。
週末のデートが彼のお見合いで、ドタキャンになるのは何度目の事だろう。
私は休暇を取って、顔を合わせないようにした。
会ってしまったら、彼に不満をぶつけてしまいそうになるから。
休暇を泣きながら過ごすよりは、祖母の遺品整理の手伝いをしようと思った。
何かをしていないと、涙ばかりが溢れてしまうから。
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