祖母

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祖母

祖母が亡くなった。 葬儀を終えて暫く経った頃、会社に休みをもらって遺品整理をしようと祖母宅を訪れた。 祖母の家は私と両親の家の隣にあり、ずっと一人暮らしをしていた。 良く言えば、由緒正しい日本家屋。 正しく言えば、古くさい日本家屋。 引戸の玄関を開けると、埃が廊下や靴箱の上に埃が溜まっていた。 私は持参したスリッパを出してはくと、襖を開けた。 畳敷きの居間にスリッパのまま入るのは気が引けたが、掃除をしていない状態なので恐る恐る入った。私はすぐにポケットからマスクを取り出して、ガラス戸を開けた。 私と両親の住む家は隣にあり、祖母の居間の窓から見えた。 何故、一緒に住もうと言った時に頷いてくれなかったのだろう。 入院する時も「早く家に帰りたい」と言っていた。退院したら一緒に住もうと思っていたのに…。 日中は母が整理をしていたようだが、あまり進んでいない。母には義母にあたるが、祖母と仲が良くて未だに亡くなった事に実感がわかないようだ。だから、遺品整理が進まない理由なのだろう。 それでも、父が片付けているせいか乱雑な状態になっていた。 私は祖母の本や雑誌などを紐で縛ったりした。
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