「スポットライト」

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 小さい時から、僕は人に見られることが大好きだ。  目立ちたがり屋な子どもはそう少なくない。幼い頃はよく、お遊戯会や劇の主役を奪い合ったものだ。  誰が木の役なんかになるもんか。  それもある意味目立つ役だということは、大きくなってから気がついたんだけど。  でも自身のことを次第に知ったみんなは、徐々に舞台の中心に立つことを避け始めた。一歩下がって様子を見る「脇役」が自分にお似合いだとでも思っているんだろう。正直それは僕にとって、とても都合が良いということは、言うまでもない。  目立つことが好きな僕は、全生徒教師から注目を浴びる役ということだけに魅了され、生徒会長に立候補したこともある。人気者の僕は圧勝でその地位に就けたのだけれど、実は眼鏡をクイクイさせながら長ったらしい文章を読むような仕事は大の苦手だ。  だからいざその仕事を始めると、僕はただの足手まとなってしまった。他の生徒会員の冷たい視線は痛いほど感じた。頭の良い人たちの中で、ただへらへらと笑うだけの僕は彼らのお荷物だったんだ。
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