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「ここ、空いてる?」
友達もいなさそうな彼女に初めてそう声をかけると、彼女は分かりやすく顔を赤らめた。かなり慌てながらも、何とか「どうぞ」と出した声にお礼を言い、僕は彼女の隣に座った。
「僕、三坂れい。まあ、知ってるかも知れないけど。」
僕が言うと彼女はぶんぶんと首を縦に振った。
「君の名前は?」
「わ、私...ですか?」
僕が話しているのは彼女しかいないのに、私なんかという顔で、彼女は口をごもらせた。そんな彼女に小言は漏らさず、ただ満面の笑みで頷くと、彼女は答えた。
「高田...美玲...です。」
「わあ!僕と同じ名前だね、『玲』って部分が!」
僕が感動を覚えると、彼女は慌てふためいた。
「じゃあ今日から玲ちゃんって呼ぶね!それとも美玲ちゃんの方がいい?」
「玲で大丈夫です!!」
「分かった、じゃあ玲って呼ぶ。」
僕がそう言うと、彼女は熟したリンゴみたいな頬を浮かばせて、それを隠すように顔を覆った。「れい」が「玲」って呼ぶなんてややこしい限りだけど、何より彼女の反応が面白かった。
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