暗い川

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暗い川

なにがうめもの食いてえじぇえ 贅沢は言わねえのさ んだって毎日がっこど芋だじぇえ なあに三度、三度おまんまきええる(食える)だげでありがでえんだが んだってさがなだのにぐ食いてえじぇえ 今度買ってかせっつけえにまんまけえ 芋があ 味噌汁さめねえうぢ食っとがんせ 味噌汁も芋だがすか 芋は体さいぇえん(良い)だが なしておらえはにぐだのさがなきぇえねえ(食えねえ)な 母は黙ってしまった 公子も薄々知っていた うちには父親が居らないからだ 母は毎朝早くから日が暮れるまで一生懸命真っ黒になって働いた それでもこうしているのがやっとであった 公子、まんま食ったらちょっと外さあべし、閉伊川見に行ぐべす こんな日が暮れてからかと公子は思った なあ公子、あど、にぐもさがなも食わねってもええぐなるすけえな 母は泣いていた
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