初戀のメリーゴーランド

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初戀のメリーゴーランド

初めてきみとふたりでバスに乗る 余所行きの服 おろしたての靴 何も話さず窓の外を眺める 次は有楽町 次は有楽町 有楽町でバスを降り 映画を見よう 子供二枚 東映まんがまつりをやっている なんだかつまらない 途中で抜け出す デパートへ行こう ご飯を食べよう ぼくはどうしよう わたしはナポリタンとメロンソーダ じゃあぼくもそれにする 美味しいね 美味しい いつもはお母さんと一緒だけど なんだか今日はもっと美味しい ご飯がすんだら屋上で遊ぼう コーヒーカップ あんまりぐるぐる回さないで きみがこわがるからもっと早く回す メリーゴーランド なんだかすごくうれしい気持ち ぼくにはよくわからない もう一度メリーゴーランド きみは泣いているの ぼくにはよくわからない もう日が暮れる 帰りのバスに揺られふたり 何も話さず窓の外 次は小学校前 次は小学校前 とっぷり暮れた秋の空 きみは左へ ぼくは右へ 木の電信柱の薄暗い白熱球の下 きみがぼくに口づけた 手もふらずきみは駆け出した ずっと遠い日の思い出
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