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S.P.
オールバックの黒髪に、なんの感情もないような細い瞳、端正な顔立ちだけに勿体なさを感じる、この、謎の人物。
目の前の状況を全く飲み込めないアシュアたちのもとにツカツカ歩いてきた。
「おい小僧、この状況を説明しろ。手短にな。」
見下すように冷たい視線にたじろぎながらも、アシュアは口を開いた。
「そ、それは、こっちのセリフですよっ!一体あなたは誰なんですか?なんなんですかっ!」
アシュアの言葉に謎の人物は、ため息をつきながら、
「もういい。説明は後だ。こいつらをどうにかするぞ。」
謎の人物は、最初に襲われていた男性と、襲っていた男性の手当を始めた。
「オレは、スペース ヒューマン ポリス、略してS.P.のマッカーサーだ。主に、宇宙人の調査と戦闘、現場に赴くことが多い。最近、誘拐事件がこの町で多いから調査のために警戒していた。で、宇宙人の気配がしたから来てみたら、このザマだったって訳だ。」
マッカーサーは、慣れた手つきで、男性たちに包帯を巻きながら手短にそう言った。
ーーー・・・・・・ス、スペース ヒューマン ポリス?
・・・宇宙人の調査と戦闘?
・・・なんの話だ?
アシュアはマッカーサーの言葉が全く飲み込めず、ちんぷんかんぷんの状態だった。
マッカーサーは、怪我した男性2人を救急隊に引き渡したあと、ぼうっと突っ立っている3人に向き直った。
「お前らは、なぜ、ここにいた?」
「あの、私たち、宇宙人に敵討ちをするために、家出して、この町まで来たんです。宇宙人にどうしても接触する必要が、あって・・・。町に着いた時、悲鳴が聞こえて駆けつけて・・・今に至ります。」
マリゲルタは、懸命に話した。
「・・・敵討ち、だと?」
マッカーサーは納得できない、というような顔で言った。
「オレたち、というより、オレです。オレは、3年前、宇宙人に父さんと母さんを殺されて、弟を誘拐されました。警察に、そのことを言っても信じてもらえなかった。だから、オレは、自分の手で、宇宙人に敵討ちをするって決めたんです。
それより、スペース ヒューマン ポリスってなんですか?オレは初めて聞きました!宇宙人と戦うってどういうことですか?」
アシュアはだいぶ落ち着いてきて、今度はマッカーサーに興味津々で聞いた。
「・・・質問の多い小僧だな。説明はあとだ。ひとまず家出小僧。近くにS.P.の休憩所がある。そこまで行くぞ。もうこんな時間だしな。」
マッカーサーはそういうや否や、早足、いや、駆け足で休憩所まで足を運んだ。
3人はというと、マッカーサーについて行くのに必死で、先程の宇宙人のことを振り返る余裕もなかった。
マッカーサーの足で5分ほどで、休憩所に着いた。
休憩所というより、隠れ家的なところだとアシュアたちは思った。
少し木に囲まれたおんぼろ屋敷のような建物。
建物の周りはツタだらけで、普通の人なら立ち寄りたくない雰囲気だ。
ギィーーー
重く軋むとびらを開けるとーーー
「うわぁーーーー!」
3人は歓声をあげた。
そこには、まるで、おとぎ話に出てくるような豪華すぎる、マッカーサー曰くの、休憩所、が広がっていたーー。
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