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衝撃の事実?
「ちょっと一回、整理してみよう。」
走ってきた意味がなかった、と苛立った大人たちに謝ったあと、3人は速やかにヨーゼフ孤児院に戻り、部屋の中で会議を始めた。
「つまり、あの日見た宇宙人と、同じ瞳をしてたってか?」
フィリーは驚きを隠せない、という顔をしてアシュアに聞いた。
「あぁ、信じてもらえないと思うけど、オレにはそう見えた。」
「誰が信じないって言ったの?あなたの話は信じるわ。私には、普通の男性の顔に見えたけどね。だとしても、あの一瞬で、どこに消えたのかしら?」
マリゲルタは、眉を顰めて言った。
「それより、みんなで集めた宇宙人のデータ、それをまず整理しよう。」
フィリーの発言により、3人はメモをまとめることにした。まとまった内容は、以下の通りだ。
・宇宙人は高速で走ることが出来る
・大きな瞳を持っている
・UFOという乗り物を乗り回している
・過去に人に危害を加えた例はない
・満月の日に出現する確率が高い
・ほぼ夜に現れる
・人間に怯えているようで、目撃時間は短い
「じゃあ、一瞬で消えたように見えたけど、本当は宇宙人が人間を連れ去ったって可能性があるってことかもしれないわね。」
マリゲルタは、メモを見ながら言った。
「で、でも、人間の姿だったんだよね?」
フィリーは顔を引き攣らせて、2人に尋ねた。
「・・・だとしたら、答えはひとつしかない。宇宙人は、人の姿に化けて、この世界に紛れ込んでる。」
アシュアは力強く言った。
フィリーは、部屋の中で衝撃の、驚きの顔をして、倒れたーー。
次にフィリーが目覚めた時には、もう夜ご飯の時間になっていた。
「フィリー、早くおきて。夜ご飯食べに、食堂に行くわよ。」
マリゲルタはフィリーをつついた。
「・・・くっ、こんな時にご飯なんか、のど、通るかよっ!さっきの話の内容が衝撃的すぎて、もう、動揺が隠せないよ。」
言った瞬間、フィリーの腹の虫がぐぅー、と容赦なくあたりに響いた。
マリゲルタはクスッと笑った。
「お腹は正直ね。」
3人は、食堂の席について、夜ご飯の具沢山のポトフを一斉にすすり出した。
じゃがいも、キャベツ、ウインナー、どれも美味しいものばかりだ。
しばらく、食べることに夢中になっていた3人だったが、最初にアシュアが口を開いた。
「もしさっきのオレの仮説があっているんだとしたら、町角にいた男性も、宇宙人に襲われてたってことになる。宇宙人が人に危害を与えないって考えは、間違ってるってことだな、やっぱり。」
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