不可解な事件

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不可解な事件

「・・・そうね。だとしたら、私たちが宇宙人についての最新情報を握ってるってことね。」  マリゲルタはスープをすすりながら言った。 「でも、本当になんで人間をさらっていくのか、訳が分からないよ・・・。僕らと同じように、宇宙人も地球人に興味があるのかなぁ。調査のため、とか・・・?」  フィリーが言うと、 「そうだな、目的を突き止める必要があるけど、そのためにはもう一度、宇宙人に接触しなきゃいけない。町に出かけるチャンスは年に数回だってのに・・・。」  アシュアはため息をついた。  それから程なくして、3人の耳に驚きの情報が飛び込んでくるのは、大して時間はかからなかった。 ー忽然と姿を消した偉人たちー  その内容は、以下の通りだ。  ここ最近、痕跡を残さない誘拐事件が増えている。また、忽然と姿を消した人々は、同じくして共通点を持っている。  博士やノーベル賞、文学賞、発明家、いずれにしても何かしら偉業を成し遂げた人々である。  このように、国のために力を尽くした人々が、何者かによって誘拐されることは大変遺憾である。  警察は、力の限り捜査にあたっているが、手掛かりは全くないという。  この誘拐事件の犯人は同一人物だとみており、早急に事件の解明に向けて動いている。  いずれにしても不可解な事件だ。 「ねぇ、これ、どう思う・・・?」  フィリーは、先生方から頂戴した、最新の新聞の記事を見て、2人に尋ねた。 「オレたちが町に行ってから、そんな時間は経ってない。あの時見た宇宙人が犯人だとしたら、手がかりを残さない理由も納得できる。」  アシュアの瞳は燃えていた。 「これ以上、被害者を増やさないためにも、なんとか食い止めたいけど、方法が思いつかないわ・・・。」  マリゲルタが眉を顰めて言うと、 「オレたちが食い止めなきゃ、誰が食い止める?オレの中では犯人は100%アイツだってこと、確信してるんだぜ・・・?」 「でも、どうやって・・・?ここにいたって何もできないわ・・・。」 「家出・・・するしか、ないだろ?」 「い、家出・・・?!」  フィリーは目を丸くした。 「好都合なことに、犯人から近づいてきてくれたんだ。このチャンスを逃してたまるかよ!」  アシュアの表情に、2人は抵抗の言葉さえ思いつかなかった。
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