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確かに、振られた直後は悲しくて痛みはあったけど…泣いたことない。
課長が俺の涙を拭ってくれる。
『お前が泣いてんの初めて見たよ。好きなんだなその人の事…んで…自分で拒否ったくせに会えなくて泣いてる』
「課長…俺…どうしよう」
「なぁあんた!何で名梨さんを泣かしてんだよ…」
「!!!!オーナー…何でここに…」
「外から見つけた。名梨さんが誰かと一緒にいるの見ちゃって外で待ってようと思ったけど、泣いてるから…」
『京…この人か?』
「うん、オーナー!この人は俺の上司で友人だ」
「友人が、涙拭ったりする?しかも、あなたの名前呼び捨てにしてる…」
課長が俺を見てニヤリと笑う。
『で?あなたは京のなんなの?』
「俺はただの…カフェのオーナーです。名梨さんとは…お客様の関係です…」
『じゃあ、俺が京を泣かせたとしてもあなたには関係ないだろ?』
オーナーがグッと拳を握っている。
「そうでした。すみません…名梨さんは辛い思いしてたって聞いたので…失礼しました。俺…帰ります」
『ククク…待ってよ…京を泣かしたのあなたですよ?』
「え?」
『あなたのせいで泣いてんの!俺にはかわいい嫁がいて、その嫁と京が同期なんだ』
「俺…揶揄われたの?っていうか名梨さんに拒否られて泣いたの俺ですけど…なんで?」
『はいはい、あとはふたりでやってくれるかな?場所は変えてね。オーナー…京はマジで面倒臭いヤツだから…気長に接してやって。ただ、泣かせるんならやめといてな』
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