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ブラックで
また一週間たった。
もう考えないと思えば思うほど、考えてしまう。
だけどやっぱり、考えない。
カフェにも行かない。
そう…思ったのに…
会わなければすぐ忘れるって…
思ったのに…
「ナナシさん…」
「あんた…なぜここに?」
「この前ナナシさんが逃げた時、途中まで追いかけた」
「マジか…」
「うん、俺の顔見て逃げたでしょ?だから気になって…」
「別に…そんなんじゃない。あんた店は?」
「ナナシさんを探して…一週間この時間だけ毎日、友人に任せてた」
「あんたバカなの?」
「そうかも、ナナシさんのせいでね」
「俺にどうしろって言うんだ?そもそもあんたゲイなのか?」
「…違うと…思うから…ゲイの友人に相談した。この前ナナシさんが逃げた時、ちょうど話してたんだ」
「あ…あのロングヘアの?」
「うん、大学からの友人でゲイなんだ。彼にナナシさんのこと話したら、それは恋だと言われた。どうしても確かめたくてあなたを探してた」
「いや…違うよ…恋じゃない…ただの勘違い。俺、美人だってよく言われるし…女に生まれれば良かったのにって言われたこともある」
「そっか…確かにナナシさんは胸もないし、お尻も小さい。背高いし、細いしね。美人って言葉がよく似合う。足早いよね?」
「陸上やってたから…しょっちゅうジムで走ってるから、筋肉は落ちてないと思う」
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