ブラックで

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「どおりで…早かったもん」 「じゃあ、この辺で」 「待ってよ、まだ恋なのかそうじゃないのかわからないから。コーヒー飲みに来てよ」 「…今からか?」 「うん、ご馳走する」 「じゃあ、一杯だけ」 「いらっしゃいませ、カウンターへどうぞ」 さっきまでとは違う顔、もうカフェのオーナーの顔。 「今日はブラックで飲んでみて?」 コトリと音がして、コーヒーの香りが鼻をくすぐる。 「何で?」 「コーヒー飲みながら、俺の事見ててよ。ブラックは嫌い?」 「いや、別に…」 「じゃ、また後で」 ふわりと優しいイメージなのに、随分とテキパキしてるな。 それよりなんだ?エラく女性客が多い。しかもよってたかってオーナーを呼びつける女性ばかり。 「ふぅ、お待たせ。退屈だったでしょ?」 「いや、あんたが女性にモテまくってんの眺めてた」 「妬ける?」 「んなわけない…俺は…別に…」 「残念…妬いてもらう予定だったのに…」 「NO1ホストみたいだった…」 「はは、実は…この店持つためにやってたNO1ホスト」 「そっか、やっぱりな。爽やかイケメンなのに、隠れた色気が溢れてる」 オーナーが口元を手で隠し、しばし間が開く。 「それってさ…あなたの俺に対する感想?」 「え?ん…まぁ、そうだな。なんだよ」 「いや、言い回しがこの前のゲイの友人と一緒だったから…あなたもしかして…」
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