ブラックで

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「あ…まぁな。そういう事だ」 「そっか、良かった」 「良かったって…でも俺は…もう無理なんだ」 「何が?」 「もう恋とか愛とか…耐えられない」 「キツい思いしたの?」 「ふ…そんなとこだ」 「…じゃあ、俺に癒されて。俺に愛されるのはどう?」 「俺は…やめた方がいい。悪いな、ごちそうさま」 「ちょっと待って、せめて連絡先。名前はまだ聞かないから…」 その聞き方はずるいだろ、どっちかはちゃんと教えろって… 「いいけど、基本は既読無視する」 「了解。問いかけは控えるよ…って…ねぇ、これホントの苗字…?」 俺はオーナーの携帯画面を指差す。 「はは、ちゃんと言ったろ?【名梨】でナナシ…ま、名前は盛ったけどな」 「ごめん…俺てっきり」 「教えたくないって思ったんだろ?慣れてるから平気だよ。んじゃな」 「名梨さん、おやすみのlimeいれますね」 ふっと笑って店を後にした。 あ…オーナーの名前聞き忘れた。 まあ、いいか…今はもう… 別に待ってたわけじゃないけど… その日の遅い時間にオーナーからlimeが入った。 【今日は会えて良かった。おやすみなさい。三神】 三神か…苗字もイケメンかよ。 俺はなんとなく、寝たフリを装い未読のままで眠りについた。 翌朝、返事をする。 【はよ、今日もいい一日を】 すぐに既読になる。早いな。 【おはようございます】 【名梨さんに会えたら、その日はいい一日になる】 バカ、じゃあ会えない日はどうなんだよ…
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