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自分の気持ち
定時退社後俺たちは、近くのイタリアンへと向かった。
『まずは乾杯だ』
「すいません、付き合わせてしまって…」
『いいんだよ、いくにも言われた。ちゃんと京の話聞いてやれって』
「いくも元気ですか?」
『ああ、元気だよ。次はいくも誘おう。で?何があった?』
「課長は俺の恋愛遍歴ご存じで、もうイヤになってる事知ってるでしょう?」
『そうだな、お前はとことん男運?ないからな』
「はは…そんな俺に好意を持ってくれた人がいたんです。でも拒絶してしまった。それで終わっちゃったみたいで…」
『ふぅん…拒絶したことを後悔してるのか?』
「それがわかんないんです。もう恋愛は嫌だから、友人でも知り合いでもそれがよかった。そう言ったら…【それじゃ触れられない】って言われました」
『身体目当てって?』
「いえ、俺の身体にも心にも触れたいと…」
『相手もゲイなのか?』
「違います」
『お前な…ゲイじゃない男が、男に惚れるなんてほぼないぞ。っつーか、終わったかもってお前が悩んでる時点でもう恋じゃないのか?好きなんだろう?』
「へ?」
『へ?じゃねーよ。お前初めてなんじゃないのか?自分から好きになったの。今まで告られて付き合って寝てさよならばっかだったろ?』
「課長、言い方…」
『だってそうだろ?お前が振られるたびに飲んでたけど、縋りつきはおろか、泣いたこともないだろ?』
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