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「そうかそうか。つまり君は、そういう奴だったんだな」
やってしまった。僕の口から出てきたのは、また思ってもいない悪態の言葉だった。
「結構だよ。僕は、君の集めたやつはもう知ってる。その上、今日また君が蝶をどんなに扱っているか…と言うのを見る事が出来たさ」
ああ、何を言っているんだよ僕の口!いつになれば、同じような過ちを繰り返すに済むの!?
彼は、怒りの表情でわなわなと震え出した。僕に飛び掛かりたい衝動と、闘っていたのであろう。当然だ。むしろ、殴りかかってでもくれたならどんなに気が楽だったか。
でも、そうはしなかった。振り上げた手を、必死に抑え…。僕を見ずに、そのまま部屋を出て行こうとした。
…これで。
…これで、いいのかい?エーミール・クロフト。
ちっぽけな優越感と引き換えに、僕は彼の中で永遠の悪役として生きる事になる。
結局、胸の中に秘めた想いは伝える事が出来ずに…。
…そんな。そんな事は断じて嫌だ!
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