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彼が、そんな僕の手を取って抱きしめてくれた。滝のように流れる僕の涙を、優しいその舌で舐めとってくれる。
嬉しい、とても嬉しい。今日と言うこの瞬間が、永遠に止まってしまえばいいと思った。
ふと彼の指で、顎を持ち上げられる。言い忘れていたが、彼の方が一回り身長が高いのだよ。
「んっ…」
そうして、そのまま唇を重ねられた。こっそり読んでいる恋愛小説のように、レモンの味はしなかったけれど…。でも、何だろう。彼の母親が得意な、黒スグリのパイかな?甘くて酸っぱくて、ほんの少しほろ苦い味がした。
彼から唇を離すと、お互いの舌に唾液が糸のように伝っているのが見えた。どのくらいの時間、舌を絡め合っていたかって?どうぞ、ご自由に想像したまえ。
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