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それから二年ほど経った。彼の収集に対する熱情は、絶頂期にあったようだ。
そして、僕の彼に対する感情も…。あれ以来中庭を越えて来る事はなかったけれど、彼の事を考えない日はなかった。
そんなある日、僕は貴重なクジャクヤママユの繭を手に入れ羽化させる事が出来た。いや、相変わらずそれ自身にはカケラの興味もなかったけれど…。
チャンスだ、と僕は思ったさ。クジャクヤママユは、本の挿絵でしか見た事のない存在。彼が食いつかない筈がない。そう考えた僕は、日を決めて仲間を集めそれを公開する事にした。
まあ、彼以外の連中とか心の底からどうでも良かったけれど。彼一人誘うのも不自然だし、何だかんだこれで仲直りのきっかけになればね。
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