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公開の日、つまり彼に会える日が待ちきれない。
その日も何だかソワソワして、家の周りを歩き回っていると…。目を疑った。彼がいつの間にか僕の部屋に忍び込み、何かを発見していた。
何かって…。分かっているよね。僕が羽化させたクジャクヤママユだよ。彼は大いに満足したような顔をして、それを展翅板から外し部屋の外に持っていった…!
そうかそうか、君はつまりそんなやつなんだな…。そうやって、軽蔑しようと思えば簡単だ。しかし不思議と、カケラもそのような感情は浮かんで来なかった。
再三言うように、僕にとってコレクションそのものは大した意味を持たなかったし…。それに、逆に嬉しかった。彼のような人間でも、一時の欲望に負けて過ちを犯してしまう事があるのかと。でもそれが、人間と言うものなのだろう。
むしろ欠点がある事を知って、余計に彼を美しく愛しいと感じるようになった。
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