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第一話。殺人の追憶。
「知ってるかい? 記者さん。人を殺して罪にならないことが三つあるって」
今、私の目の前でそう語る男は死刑囚。奇妙な男だった。彼はケタケタと、自分の犯した罪について、笑いながらさも楽しく語るのだ。死の両目から大粒の涙を流して。
「三つ、のうちに入るかどうかは分からないが、職務上の問題、例えば軍人が戦場で人を殺すとかかね?」
……彼は懺悔をしているのだろうか、私は思ったことは口にはせず、そう言った。
「惜しい! 微妙に違う。戦場で兵士が殺して良いのは、攻撃性のある敵兵だけだ。人じゃない」
が、定義としてはそれが一つ目であると彼は言う。
「なるほど、確かに。言われてみれば国際法上、交戦国の民間人への殺傷行為は重罪ではあるな。……ちょっと興味本位に聞いてみたいんだが……」
私は彼に大量破壊兵器、例えば核攻撃或いは、製造などによる直接、間接的な殺傷行為も、罪に問われて君のように死刑になったものはいないと思うが、これも罪に問われない殺人と言えるだろうか。
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