1.プリンセス戦士百合香 爆誕!

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地下鉄に乗り、飲み会の会場がある新宿を目指した。 あと少しで爽真先生からチョコを貰って一緒に食べられたかもしれないのに。 もしかすると、もしかすると、宝くじが当たるくらいの確率で恋が生まれる展開になったかもしれないのに。 ため息をつくと、地下鉄が大きく揺れて舌を噛んだ。 痛い、痛くて泣きそうだ。 私はどこまでツイていないのだろう。 爽真先生を思い出すと、あんなに楽しみにしていた飲み会が急に色褪せる。 自分勝手な妄想を慌てて追い払う。爽真先生と付き合えることなんて120パーセントない、それでも爽真先生はカッコよかった。 ふと顔を上げると車内の中央で私と同じくらいの女の子三人組が、彼氏の話をしていた。 彼氏がいるけれど、他の男にもアプローチされているそうだ。 あと身長が15センチ小さくて、きしゃな体だったら私の人生はより良いものになっていただろう。 恋愛がしたい。 新宿駅西口に降り立ったのが午後7時40分。金曜日の新宿は人で溢れていて歩きづらい。 会場の有名チェーン店はすぐそこに見えている。 やけに電光掲示板がたくさんついたビルの地下へと続く階段を降りる。 客層は私みたいな二十歳前後の若者が沢山いた。私もそうだけれど、みんな安くてそこそこおいしければそれでいいのだ。 店員に友人の名前を告げると奥の座敷に案内された。 そこには、いつもの専門学校時代の友人メンバー三人、優しそうな男の人が三人座っている。そしてその横に一人だけ飛び抜けてイケメンが座っていた。 「うわっ、かっこいい。」 思わず口に出してしまった。 芸能人なのだろうか、周りの人とレベルが違いすぎる。 テレビ番組のドッキリで「合コンで俳優の〜がいたら?」の検証番組かと思い、隠しカメラを探したけれど素人の私には隠し場所なんて検討がつかない。 友人の穂花が唖然立ち尽くす私の手を引っ張って着席させた。 「遅れました、百合香です!ほらっ、自己紹介!」 穂花の一言で我に帰る。慌てて無難な自己紹介をした。 「下原百合香です、二十歳です。歯医者の事務員をしています」 すると他の男の人たちが「百合香ちゃん、よろしく」と当たり障りのない反応をする中、芸能人のようなイケメンがにっこりと笑った。 「よろしく百合香。俺は市太郎」
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