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33 トラウマは無くなったけど
「ユキ~。今日一緒に帰ろうぜ。」
「俺も、俺も。一緒させて。」
よっちゃんとザキくんが僕に声を掛ける。
小林くんは部活があるらしく別行動。っていうか部活に入ってたんだ・・・。
「ごめん。小鹿倉くん日直だから待ってるんだ。」
僕は申し訳ないと思いながらそう答えてヒラヒラと手を振った。
「ちぇー。今日は一緒に帰れると思ったのに。」
「本当。用心棒もいないしって。」
「しょうがないから小林の部室にでも寄ってくか。あいつ、ちゃんとやってんのかね。」
「やってるだろう。この時期から入るぐらいなんだから。」
「えーでも登山部だろ。どうしたんだ、急に。」
「うーん、何か心境の変化でもあったんだろう。」
不服そうにしながらもよっちゃん達は気の良さそうな顔で僕に挨拶をしながら帰っていった。
小林くんの部活に顔を出してちょっかいを掛けているうちに2人とも登山部に入部させられてそうな気がするけれど山登りは少し興味があるので僕もその内見学させてもらおうと思っている。
小鹿倉くんと僕は今もまだお付き合いしている。
付き合ってまだ数か月の出来たてホヤホヤの恋人同士だ。
未だにドキドキ感が止まらなくて、「それはトラウマじゃない」って小鹿倉くんは言うけれど、どんどん酷くなるドキドキは時に僕をトラウマよりも悩ませる。
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