世界と役割を知る、第1話

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 この世界は四つの大陸で成り立っている。  大陸の名前はこの世界を創ったとされる四人の女神と同じだそうだ。サシェ、イレイア、メレス、レテの名前は誰もが子供の頃から暗唱できるよう叩き込まれるという。  私が目覚めたのは『レモラグレース聖国』。レテ大陸で最も大きな国であり、私が聖女の立場である限りは永住の地になる場所だとも教えてくれた。  聖国というのは聖女が現れる国の総称らしい。大陸それぞれに一つずつ聖国があるというから、この世には私を含めて四人の聖女がいる計算になる。それが多いのか少ないのかは、ここに来たばかりの私には分からない。  アメリアは私の理解度を確認しながら話を進めてくれる。  この世界には魔法というスキルが存在する。誰もが使えるものではなく、しかるべき養成機関で学んだ人でないと厳罰に処されるらしい(ごくごく簡単な魔法ならお咎めなしのようだけど)。少なくとも三年は魔法の基礎と応用を学び、試験に合格した者だけが魔法使いと名乗ることを許されるのだそうだ。  魔法使いは魔力と呼ばれるエネルギーを利用して魔法を使う。魔力無しに魔法を発動させることはできない。どんなに優秀だろうと、家族に伝説級の魔法使いがいようと、そのルールは変わらない。にも関わらず、この世界の魔法使いは自力で魔力を生産することができないのだ。  肉じゃがを作りたいのに、主役であるじゃがいもが近くの店にも通販サイトにも売ってないようなもんか……なんて考えてしまった私はちょっとお馬鹿さんだろう。規模が違い過ぎる。 「魔力を生み出すことができるのは聖女様だけなのです」
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